東北学生設計競技1999
木のシェルター
入選作品

審査員

相羽 康郎東北芸術工科大学環境デザイン学科教授
阿部 仁史東北工業大学建築学科助教授
杉山 丞東北大学工学研究科助教授
松井 壽則日本大学建築学科講師

総評

「東北学生設計競技1999」は応募資格で地域を限定した為、地域の偏りが出てくるのではないかと多少心配ではありましたが、入賞作品は多地域に分散しました。このことはバランスがとれて良かったという感想と同時に、東北7県にある建築系教育機関で学ぶ計画設計系の学生諸君の一層の頑張りを今後に残しておくことにもなります。

入選作品には、大きく2つの傾向がありました。ひとつは「木の持つ素材としての特性」、もう一つは「シェルターの概念の拡張」です。

応募作品の中には具体的な住宅設計やキヨスクの設計を行っていたり、中には一人で3点もの作品を応募していただいた方もおりましたが、入選作品との差は、「木の素材の追求」「シェルターという概念に対する思考の質と量」であろうかと思います。

入選作品の多くはCAD・CGによるプレゼンテーションに優れていましたが、きれいなCG作品は他にもありました。やはり素材に対するイマジネーション、シェルターという概念の捉え方において、入選作品は他のものより一歩秀でていました。

全体の印象としては、もっと生々しい木との対峙から身体状況的なシェルターがあったらよかったかなと思うものの、コンペ入選作品のレベルはなかなか高く、高望みを言わないでおこう、というのが本音です。

最優秀賞

<hyper media/connected/wood>

高橋 剛
日本大学 大学院工学研究科建築学専攻


シェルターを確実な輪郭のあるものではなく、都市の中に散りばめられた自立する3次曲面の格子や簾等の表皮として挿入する案です。このシェルターが中低層の建物の表面を覆って内外をつなぐデジタル・インターフェースにもなっています。シェルターの概念を拡張しており、やや雰囲気的で論理的に少し理解できない点はあるものの、美しいプレゼンテーションによってまとめられてしまったので、素材的な追求をした対抗案の弱点(施工性及びバリエーションのプレゼンテーション等)に比べるとさほどの欠点とならず、最優秀賞に選ばれたと言えます。
(評/相羽 康郎)


優秀賞(次点)

BUS-KET<Soft Wood Architecture>

斉藤 福子(代表)・増見 収太・中楯 哲史・熊崎 敦史・白川 在
法政大学 大学院工学研究科建設工学専攻


伝統的な工芸の手法を応用して木造の新しい表現としようという提案です。
木材の持つ質感をシェルターという形態にうまく生かしており、今回のコンペにおいて木の物質性に正面から取り組んだものとしては最も優れたものであり、デザインとしても美しい提案でした。
しかしながら、木の物質性をテーマとしながら、実際の構法としての説得力にやや欠ける点があり、最優秀には至りませんでした。
(評/阿部 仁史)


優秀賞

地下鉄の駅 SHELTER/FILTER

林 順孝(代表)・吉田 健一
東北大学 大学院工学研究科都市・建築学専攻


木の持つ特性を利用し組み合わせを形作る提案は、今回の提出された作品の中に多く見られました。ただしこの作品は、シンプルで単純明快な構成でありながら、あるリズム並びに旋律を感じさせる提案となっており好感がもてます。実現性の高い提案であるとも言えるでしょう。しかし単にオブジェ的なとらえ方がされ、その点で入選にとどまってしまいました。
(評/松井 壽則)


優秀賞

Weekendhouse 週末住宅

阿知波 修二
新潟大学 大学院自然科学研究科環境システム科学専攻


主題にある「木を使って」を独自の理解・解釈をし、木を構成材として使用するのではなく、木のシステム・木の生命管の構成を作品に採り入れ住空間を提案している点、またその管を構造として活用している点は、主題の趣旨に沿ったものではないものの、ほかの提案になくユニークさが認められます。ただし何処かに快適性を思い出し、何から防御するかが伝わってこないのが残念です。
(評/松井 壽則)


優秀賞

Snow Wave

瀬戸 健似(代表)・小川 博央
日本大学 大学院生産工学研究科建築工学専攻


"雪から守るシェルター"ではなく、"雪を楽しむシェルター"を作り出そうとする作者の姿勢に、まず拍手を送ります。「雪が崩れたとき、この屋根は上へと跳ね上がる」という作者の説明を読んで、とてもその通りにはいかないだろうと思いながらも、「もしかしたら・・・」という期待も抱いてしまう、アイディアのスケールの大きさを評価します。
(評/杉山 丞)


優秀賞

FISHERMAN'S SHELTER

佐々木 志帆
千葉大学 大学院自然科学研究科デザイン科学専攻


今回の応募案のなかで集合した建築物を取り扱った数少ない提案の一つです。
既存の漁師小屋が形成する一種の集落の特性を分析し、そこに公共的な性格を導入することで、より高次の集落的空間にStep upさせようという試みは興味深いものがあります。又、集落の原型をみるような造形が魅力の案です。
(評/阿部 仁史)


奨励賞

COUNTRY HOUSE

青山 真理菜
東北文化学園専門学校 工科情報学部インテリア科


フンデルトワッサーを思わせる楽しげなパッチワーク状のシェルターが提案されました。
「父が私たちに造ってくれた手作りの公園にこういう木材でできた小さな家があったらいいな」という作者自身の言葉に端的に表されているように、この暖かなぬくもりの伝わるシェルターは作者のお父さんそのものだったのかもしれません。とても幸せな気持ちになるドローイングに対して奨励賞を送ります。
(評/杉山 丞)



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